内閣府より募集がありました「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針骨子」に対して、NAFCAより提出したパブリックコメントを公開します。
概要や意見募集対象などはこちらから
※リンク先「4.意見募集対象」の「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針骨子」別添PDFを参照してください
1(2)P2 23−24行目
「プライバシー・財産権の侵害」とありますが、それらだけでなく、肖像権・著作者人格権・個人情報保護等の権利にも目を向ける必要があります。
多くのクリエイターにとって作品や実演は、財産権のみで語れるものではなく、これまでの裁判例を見ても人格権の侵害が中心論点となる事例は枚挙にいとまがありません。本「考え方」の記述のみでは片手落ちであると言わざるを得ません。
P3 6−9行目
「人間中心」を標榜するのであれば、AIの恩恵だけでなく、誰もがAIから距離をおける、つまり自身の作品等が学習データにならない権利も併記するべきであると考えます。
本「考え方」はあまりにAIの活用ありきであり、ステークホルダーの意思を意図的に無視しているように読み取れます。再考を求めます。
P3 13−15行目
生命、身体、財産だけでなく、心理的安全や人格権、肖像権、名誉の侵害も考慮するべきです。
P3 16−19行目
透明性を確保するためには、AIによる生成物にAIによるものだとの明示を義務付けるべきだと考えます。昨今すでに災害や危険情報に関するAI生成物が多く観測されており、それらは生命の危機に直結します。ディープフェイクの被害を抑えるためにも、AI生成物にはそうであると明示させるべきではないでしょうか。
P3 28−30行目
プライバシーのみの問題ではなく、個人情報や人格権、肖像権、名誉等の問題です。
AIの問題は人権に直結していると認識すべきではないでしょうか。
さらに、生成AIが個人の感情・注意・判断といった認知領域に直接働きかけ、特定の反応を誘導したり依存を形成したりするリスクにも着目する必要があります。
「認知的自由(cognitive liberty)」の侵害という新しい人権課題への影響をAIリスクとして明確に位置づけ、文化芸術分野を含む幅広い領域での保護措置を検討すべきです。
P4 9行目
具体的な表記の追加を希望します。SNS等で散見される意見を観測していると、この「AIの活用を阻害する要因」としてAIの利用法に疑問を持つ人達を挙げる例が見られます。
この書き方ではAI使用の是非を中心とした憎悪を煽り、確執を広げかねません。具体的な表記を強く希望します。
1(3) ②ステークホルダーの積極的な関与 17―20行目
各ステークホルダーと協働して課題解決に取り組むことに賛成します。そのためには推進会議・有識者会議に、コンテンツホルダー、実演家団体、クリエイター団体、そして生成AIのクリエイティブ分野での活用に対して懐疑的な有識者を加える公平な仕組みを、強く要望します。
P5 2(2) 19−21行目
1(2)でも指摘していますが、AIの適正な利用を可能とするための情報提供には、「AI生成物であること」の明示なくしては意味がないと考えています。
いかにAIリテラシーを向上したとしても、その画像/映像/音声等が真実なのかAIによるフェイクなのかは、時間と共に判別が難しくなる一方でしょう。
であれば、AI製であるとの明示を義務化することによって、AIを使った詐欺等を減らし、さらに一般国民のAIリテラシーを高めることにも繋げるべきではないでしょうか。
P6 2(5)9−12行目
質の高いデータを無償で提供され続けるということ自体が、大変に理屈に敵わないことであると考えます。
米国連邦著作権局の生成AIに関する報告書では「商業的な目的で、大量の著作物を用いて、それらと競合する表現コンテンツを生み出す場合、とりわけ違法なアクセスによってそれが実現された場合には、フェアユースの既存の範囲を超え侵害になる」と明記されています。
このことからも、まず使って利益を還元するという考えではなく、従来の著作権法に則って学習データとして使用していいかの許諾を取り、それに必要な対価を支払うべきであると考えます。
日本には著作権法30条の4もありますが、但し書きに「著作権者の利益を不当に害することとなる場合にはこの限りではない」との記載もあります。再考を強く求めます。
P7 3(1)9−12行目
現状の生成AI、特に画像/映像/音声の分野においては、海賊版データの利用など著作権に係る問題が解決しているとは言えません。この状況下で公的機関が積極的かつ先導的に活用するというのは、国民の利益や権利を踏み躙るに等しいことではないでしょうか。
まず国及び地方公共団体に求められるのは、AIに関する議論を深めること、及び敬意ある契約に基づく信頼を構築する姿勢であると考えます。
著作権・肖像権・財産権のみならず、倫理面からもAIの利活用の是非を多角的な視点を持って議論し、その結果を広く開示することによって国民の意識を向上することが必要ではないでしょうか。
また法律だけではカバーしきれない範囲を、敬意を持った契約を交わすことで補うその姿勢こそ、公的機関が率先して行うべきことだと考えます。

